海外旅行の際、渡航先のコンセントと電圧に気をつける必要があります。
コンセントの形が日本と違えば、日本の電化製品はそのまま使うことができません。
その場合、変換プラグ(変換アダプタ)が必要になります。
また電圧が日本と違えば、日本の電圧100Vにのみ対応した電化製品をそのまま使えば、一瞬で壊れますし、最悪発火します。
その場合は、変圧器が必要です。
このように、海外旅行では渡航先のコンセントと電圧について確認しておく必要があります。
では、中国のコンセントと電圧はどうなのでしょうか?
中国で、日本の電化製品は使えるのでしょうか。
これらの点について、北京に一年間住んだ経験があり、また中国10都市と香港・マカオを旅行した私の経験も踏まえて、説明しようと思います。
1.中国のコンセント・プラグの形
1.中国大陸で変換プラグはいらない
日本の電化製品を北京で使うとき、変換プラグは必要ありません。
中国のコンセントのタイプはいくつかあるのですが、最も一般的なのは2又のAタイプと3又のO2タイプが一緒になったものです。
日本はご存知のように、2又のAタイプなので、日本の電化製品のプラグはそのままさせます。
実際私は北京・上海をはじめ、西安や桂林、福州から雲南省の田舎まで旅行しましたが、変換プラグが必要だったことは一度もありません。
雲南省・昆明で12人部屋のドミトリーに泊まりましたが、そのような中級以下のホテルでも、Aタイプのプラグは使えました。
また高鉄という中国の新幹線や、火車という寝台車でも、コンセントは問題なく使えます。
スマホやモバイルバッテリーをはじめとした日本の電化製品は、そのままコンセントに挿せます。
このように北京では、変換プラグは必要ありません。
さて、これまで中国のコンセントについて見てきましたが、次は電圧についてです。
2.中国の電圧
1.中国の電圧は220V、日本の電圧は100V
中国の電圧は220V、日本の電圧は100Vです。
日本の電圧のみに対応する電化製品を中国で使うには、変圧器が必要になります。
変圧器を使わないと電化製品は壊れてしまいますし、最悪発火して火事になります。
*周波数について
中国の周波数は50Hz、日本の周波数は東50Hz、西60Hzです。
周波数については、特に気にしなくて大丈夫です。
たいていの電化製品は本体に「50-60Hz」と記載されているように、両方に対応しているからです。
ところで電化製品は近年、全世界の電圧に対応した海外仕様のものが多くなってきました。
そのような海外対応の電化製品であれば、変圧器なしで使うことができます。
2.海外対応の電化製品に変圧器は必要ない
海外対応の電化製品なら変圧器が必要なく、中国でそのまま使えます。
それらは、全世界の電圧100V〜240Vに対応しているからです。
たとえばスマホやタブレット、パソコン、モバイルバッテリー、デジタルカメラ、電気シェーバーなどです。
自分の持っていく電化製品が海外対応かどうか、調べてみましょう。
説明書か本体の仕様欄を見れば、確認することができます。
「入力」あるいは「INPUT」という欄に「100V〜240V」とあれば、海外対応です。
いくつか、例を見てみます。
iPhone
iPad
デジタル一眼レフ(PENTAX)
電気シェーバー(Philips)
以上、身近な電化製品を調べてみました。
調べてみると分かるでしょうが、現在、旅行に持っていくような電化製品のほとんどは海外仕様です。
変圧器が必要になる電化製品は、あまりないのではないでしょうか。
実際私は中国を旅行すること10年以上ですが、一度も変圧器を使ったことはありません。
ただもし持って行きたい電化製品が海外対応のものではなく、日本の電圧のみに対応したものであったら、その電化製品は中国でそのまま使うことができません。
その時は、変圧器が必要です。
3.日本の電圧100Vのみ対応の電化製品には変圧器が必要
日本の電圧100Vのみに対応した電化製品を中国で使うには、変圧器が必要になります。
中国の220Vの電圧に、対応できないからです。
製品の説明書か本体の仕様欄の「入力」あるいは「INPUT」に、「A C100V」と書かれたものは、日本の電圧のみに対応したものです。
このような、100Vのみに対応の電化製品を中国で使うためには、変圧器を使わなければなりません。
ところで変圧器には、選び方があります。
3.変圧器の選び方
変圧器を購入するとき、使いたい電化製品に対応したものを選ばなければなりません。
無頓着に買ってしまうと、使いたい電化製品に対応しておらず、中国で使えないということになります。
最悪な場合、電化製品が壊れてしまうだけでなく、発火・火事の原因になりかねません。
ですので、変圧器を購入する前に、使いたい電化製品に対応しているかなど、いくつか調べるべきことがあるのです。
具体的には、以下の点です。
1.変圧器の種類
変圧器には、次の3種類があります。
- 高い電圧から低い電圧に変換するダウントランス(降圧変圧器)
- 低い電圧から高い電圧に変換するアップトランス(昇圧変圧器)
- 電圧の上げ下げ両方できるアップダウントランス(昇圧降圧切替式変圧器)
220Vの中国で100V対応の電化製品を使うには、ダウントランスが必要です。
ダウントランスの変圧器を、選びましょう。
2.電化製品の消費電力
電化製品の消費電力(WまたはVA)を調べましょう。
変圧器には消費電力容量(定格容量)があり、これを超えた消費電力の電化製品は使えないからです。
電化製品の消費電力に足りない、それ以下の容量の変圧器を使ってしまうと、電化製品は壊れてしまいます。
電化製品の消費電力は、本体の仕様表示欄、説明書に記載されています。
消費電力のW(ワット)を探して下さい。
Wの表示がない場合は、VAを探して下さい。
*WまたはVAは、以下の式から導き出されます。
電力V×電流A=消費電力W(V A)
参考までに、旅行に持っていきそうな電化製品の消費電力の目安を、まとめてみました。
電化製品 | 消費電力(W) |
スマホ | 1~15W |
タブレット | 6~15W |
ノートパソコン | 50~120W |
電気シェーバー | 7~10W |
コンパクトデジタルカメラ | 4w |
デジタル一眼レフカメラ | 6W |
ヘアアイロン | 90~850W |
ドライヤー | 600~1200W |
電化製品の消費電力を調べたら、次に、それに対応した容量の変圧器を選びましょう。
3.変圧器の容量
電化製品の消費電力に対応した容量の変圧器を選ぶわけですが、注意点があります。
電化製品を30分以上使う場合、消費電力の1.25倍の容量の変圧器が必要になります。
また、発熱・冷却・モーター仕様の電化製品では、消費電力の2〜3倍の容量の変圧器が必要です。
変圧器の容量は、製品ページなどの「定格容量」の欄にW(ワット)で記載されていることが多いです。
次に、おすすめの変圧器を紹介します。
4.BESTEK海外旅行変圧器
BESTEKの変圧器は定格容量が250Wなので、旅行の持っていくような電化製品なら、ドライヤーとヘアアイロンを除いて、大体使えると思います。
コンセント3口・USB4ポート搭載しており、同時に複数の電化製品を充電できるので、コンセント不足を解消できます。
変圧器が必要な場合は、BESTEKの変圧器を持っていってください。
ところで、一部電化製品の中には、変圧器を使うべきでないものがあります。
熱器具製品がそれで、旅行者が持って行きそうなものでは、ドライヤーとヘアアイロンが該当します。
次にこのドライヤー・ヘアアイロンについて、くわしく説明します。
4.ドライヤー・ヘアアイロンに変圧器はおすすめしない
結論からいうと、海外対応のドライヤー・ヘアアイロンを持っていくべきです。
ドライヤー・ヘアアイロンなどの熱器具に、変圧器を使うのはおすすめしません。
その理由は、以下の点にあります。
- 熱器具に対応する変圧器は重く大きくなる
- 熱器具専用の電子式変圧器は「簡単な構造の熱器具」にしか使えない
- 消費電力が大きいゆえにリスクも大きい
順に解説します。
1. 熱器具に対応する変圧器は重く大きくなる
ドライヤーやヘアアイロンなどの熱器具の場合、その消費電力の2〜3倍の容量(W)の変圧器が必要とされます。
ドライヤーは1200Wなので、変圧器は3000W以上が必要で、重さは10kg以上と重く大きくなってしまいます。
例えば、次のような変圧器です。
■カシムラ海外国内用大型変圧器220-240V / 3000VA
このカシムラの変圧器は3000Vと大容量ですが、11kgと重く、旅行に持っていくには不向きでしょう。
ですので、ドライヤーとヘアアイロンに変圧器を使うのはおすすめしません。
2. 熱器具専用の電子式変圧器は「簡単な構造の熱器具」にしか使えない
熱器具専用の電子式変圧器、というものがあります。
電子式変圧器は、それ以外の通常の変圧器(トランス式変圧器という)で必要な容量計算(熱器具の消費電力の2〜3倍の容量)が不要です。
ただし、電子式変圧器は熱器具以外には使えず、パソコンなどの精密機器に使うと壊れます。
また電子式変圧器は、熱器具ならすべてのドライヤー・ヘアアイロンに使えるというわけではなく、「簡単な構造の熱器具」にかぎります。
たとえば、ドライヤー・ヘアアイロンの中でも、温度調整ツマミのあるもの、ナノイオン付き、デジタルモーター付き、マイクロプロセッサー付きのもの、ナノケアドライヤーなどは使えません。
これらの点に注意を払わずに中国で使うと、ドライヤー・ヘアアイロンは一瞬で壊れますし、最悪発火します。
制限があり注意点のある電子式変圧器を持っていくよりは、海外対応のドライヤーとヘアアイロンを持参した方がずっと簡単ですし、気が楽でしょう。
ですので、海外対応のドライヤー・ヘアアイロンをおすすめします。
3.消費電力が大きいゆえにリスクも大きい
熱器具であるドライヤーとヘアアイロンは消費電力が大きく、対応する変圧器を間違える等のミスによるリスクが、他の電化製品とは比べようもないほど大きいです。
あの大きな洗濯機でさえ消費電力が500〜900Wなのですから、ドライヤーの1200Wがいかに大きいかが分かるでしょう。
ネットを見ていても、海外でドライヤーを使って壊れた、火花を吹いた、部屋のブレーカーが落ちたなどの話は枚挙にいとまがありません。
このように他の電化製品と比べて格段にリスクが大きいので、ドライヤーとヘアアイロンに変圧器を使うのはおすすめしません。
海外対応のものを、持参するべきです。
海外対応のドライヤー・ヘアアイロンについては、以下の記事で紹介します。
北京旅行で使える海外対応ヘアアイロンおすすめ9選!機内持ち込みもできる!
5.まとめ
中国のコンセント・プラグ・電圧について、最後にまとめておきます。
- 中国大陸では変換プラグは必要ない
- 中国の電圧は220V、日本は100V
- 海外対応(100〜240V)の電化製品に変圧器は不要
- 日本の電圧100Vのみに対応の電化製品には変圧器が必要
- ドライヤー・ヘアアイロンに変圧器の使用はおすすめしない、海外対応の製品を
以上、中国のコンセント・プラグ・電圧事情についてでした。
近年、北京旅行に持っていくような電化製品、たとえばスマホやモバイルバッテリー、デジカメなどは基本的に海外仕様なので、変圧器を使う必要はあまりないと思います。
とはいえ、万一持っていった電化製品が日本の100Vにしか対応していないと、壊れるだけでなく発火の危険もあるので、念のため本体の表示を確認しておきましょう。