スマートフォンやタブレット端末に充電できるモバイルバッテリーは、今や旅行の必需品と言ってよいでしょう。
しかしモバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池は、衝撃による発熱や発火の危険性があるとして危険物扱いであり、飛行機内への持ち込みには制限がかかります。
とくに中国ではルールが厳しく、空港でモバイルバッテリーを没収されたという話をよく耳にします。
そこで今回、中国旅行におけるモバイルバッテリーの機内持ち込みルールを調べました。
中国の空港で没収されない、おすすめのモバイルバッテリーもあわせて紹介します。
結論から言うと私のおすすめは、「Anker Zolo Power Bank」です。
2025年6月28日より開始された国内線の新ルール(「3C認証」表記)にも対応し、中国国際線にも中国国内線にも持ち込むことができる中国旅行のモバイルバッテリー決定版といえます。
北京旅行にはぜひAnker Zolo Power Bankを持って行ってください。
1.中国のモバイルバッテリーのルール

まず中国国際線・国内線共通のモバイルバッテリーのルールを解説します。
結論からいうと、中国の空港でモバイルバッテリーが没収されないための条件は、以下の3点です。
- 預け入れ荷物に入れず、機内持ち込み荷物に入れる
- モバイルバッテリーにワット時定格量Whが明記されている
- モバイルバッテリーは100Wh以下である
では以下、中国のルールを具体的に見ていきます。
1.中国民用航空局の規定
中国において、飛行機に持ち込みできるモバイルバッテリーのルールは、中国民用航空局(CAAC)が定めています。
中国民用航空局の定める、モバイルバッテリーの機内持ち込みのルールは、具体的には次のようになります。
- モバイルバッテリーは機内持ち込み手荷物としてのみ持参できる。預け入れ荷物に入れることはできない。
- 100wh以下のモバイルバッテリーは、航空会社の許可がなくても機内持ち込みできる。
- 100whを超えるが160wh以下のモバイルバッテリーは航空会社の許可の後に持ち込むことができる。ただし一人2個を超えてはならない。
- 160whを超えるモバイルバッテリーの持ち込みは固く禁ずる。
- 電力量(ワット時定格量wh)が明記されていないモバイルバッテリーの持ち込みを固く禁ずる。
- 飛行中モバイルバッテリーを使って電子機器に充電することはできない。
- 電源の「入切」スイッチ付きのモバイルバッテリーは、飛行中電源を切ること。
- モバイルバッテリーは必ず旅行者が自分で使用する目的のものであること。
【参照サイト】
以上が、中国民用航空局によるモバイルバッテリー機内持ち込みの規定ですが、表にすると次のようになります。
| モバイルバッテリーのワット時定格量(Wh) | 持ち込み | 預け入れ | 個数 | 航空会社の許可 |
| 100Wh以下 | ○ | × | 合理的な個数 | 不要 |
| 100Wh超え~160Wh以下 | △ | × | 2個 | 要 |
| 160wh超え | × | × |
このモバイルバッテリーの規定のなかで、特に注意すべき点を順に解説します。
2.モバイルバッテリーを預け入れ荷物に入れると没収される
モバイルバッテリーは必ず機内持ち込み手荷物に入れなければなりません。
預け入れ荷物の中に入れると、没収されてしまうので要注意です。
3. Whが明記されてないモバイルバッテリーは没収される
ワット時定格量Wh(ワットアワー)が明記されてないモバイルバッテリーは、没収されます。
購入の際は、必ずWh表記のものを選んで下さい。
4. モバイルバッテリーは100Wh以下のものが推奨
100Wh超え~160Wh以下のモバイルバッテリーは、航空会社の許可が必要になります。
100Wh以下のモバイルバッテリーであれば、航空会社の許可はいらないので、100Wh以下がおすすめです。
以上、中国民用航空局の規定でした。
ところで、各航空会社のサイトには、中国民用航空局の規定にはない項目が見られます。
それについて、以下見ていきます。
5.各航空会社の規定より
中国民用航空局の規定にはない、各航空会社の主な規定は以下の2点です。
- モバイルバッテリーは保護ケースか袋に入れること
- 100wh以下のモバイルバッテリーの個数は無制限ではない
【参照サイト】
以下、順に見ていきます。
6. モバイルバッテリーは保護ケースか袋に入れる
モバイルバッテリーの安全対策として、保護ケースか袋等に入れるようにという規定があります。
どの中国系航空会社にもある規定なので、守るようにしましょう。
中国南方航空のサイトが分かりやすいので、抜粋します。
IV. 予備のリチウム電池を運ぶための安全対策
中国南方航空「リチウム電池輸送のための安全上のヒント」
傷、衝撃、短絡などによる爆発や燃焼を防止するため、リチウム電池は元の市販の包装、ビニール袋、保護ケースなどに個別に入れるか、露出した電極をテープで覆ってください。
7.100Wh以下のモバイルバッテリーの個数は無制限ではない
100Wh以下のモバイルバッテリーの機内持ち込みできる個数については、中国民用航空局のサイトに明確な規定はないのですが、航空会社によっては言及しているところもあります。
たとえば、チャイナエアラインは「20個」、中国南方航空は「合理的な個数」です。
その他の航空会社には、100Wh以下のモバイルバッテリーの個数について規定はありません。
このようにチャイナエアラインを除くほとんどの航空会社で明確な規定がないのですが、だからと言って、100Wh以下のモバイルバッテリーを大量に持ち込むことはおすすめできません。
なぜなら、中国民用航空局のサイトには個数についての規定はないとはいえ、次のような規定、すなわち“モバイルバッテリーは必ず旅行者が自分で使用する目的のものであること”という規定があります。
つまり、モバイルバッテリーをあまり大量に持ち込むと、旅行者個人が使う「合理的な個数」ではないと判断され、没収される可能性があります。
ですので、100Wh以下のモバイルバッテリーの大量持ち込みは、おすすめしません。
8.中国のモバイルバッテリーのルールまとめ
以上、中国のモバイルバッテリーのルールを見てきました。
中国の空港で、モバイルバッテリーを没収されないための注意点をもう一度確認しておくと、以下の3点になります。
- 預け入れ荷物に入れず、機内持ち込み荷物に入れる
- モバイルバッテリーにWhが明記されている
- モバイルバッテリーは100Wh以下である
この3点を、必ず守るようにして下さい。
さて上記は中国国際線・国内線共通のルールとなりますが、2025年6月28日より中国国内線限定の新ルールが追加されました。
それを以下、見ていきます。
2.中国国内線のモバイルバッテリー新ルール
中国民航局は2025年6月28日より、従来のモバイルバッテリーのルールに加えて国内線の新ルールを適用すると発表しました。
外務省の海外安全ホームページに要点が簡潔にまとめられているので、以下引用します。
中国民航局は、6月28日から「3C認証」ロゴがない又は鮮明でないモバイルバッテリー、さらにはリコール対象となった型番のモバイルバッテリーを中国国内便の機内持込みを禁止する旨発表しました。
外務省の海外安全ホームページ:中国国内便におけるモバイルバッテリー機内持込みの注意点
つまり中国国内線には「3C認証」のないモバイルバッテリーは持ち込めない、ということです。
「3C認証」とは「中国強制製品認証」のことで、英語名称はChina Compulsory Certification、英語の略称はCCC。
中国政府による製品の合格評価制度を指します。
3C認証は、以下のようなマークです。

このマークがないモバイルバッテリーは、中国国内線に持ち込めないということです。
一方中国国際線利用時には、3C認証のないモバイルバッテリーでも機内持ち込みできるとのこと(上記の外務省のホームページより)。
例えば東京ー北京間の国際線を利用するのみなら3C認証は不要ですが、北京ー上海などの国内線を利用する場合は3C認証のあるモバイルバッテリーが必要です。
中国国内線を利用する場合は、ご注意ください。
3.日本のモバイルバッテリーのルール

これまで中国のルールを見てきましたが、次に日本のルールを見てみます。
基本的に中国のモバイルバッテリーのルールの方が、日本のルールよりも厳しいです。
ですので、中国のルールを守ることができれば、日本のルールも守ることができます。
日本のモバイルバッテリーのルールは、以下の表のようになります。
| モバイルバッテリーのワット時定格量Wh | 持ち込み | 預け入れ | 個数 |
| 100Wh以下 | ○ | × | 制限なし |
| 100Wh超え~160Wh以下 | ○ | × | 2個 |
| 160Wh超え | × | × |
【参照サイト】
以下、中国と日本のルールの違いを見ていきます。
中国と日本の違い
モバイルバッテリーの機内持ち込みについての、中国と日本の違いは次の点になります。
- 日本では160wh以下のモバイルバッテリーは2個まで無条件に機内持ち込みできるが、中国では100wh超え~160wh以下のモバイルバッテリーの持ち込みには航空会社の許可が必要
- 中国では、モバイルバッテリーにワット時定格量Whが明記されていない場合、高確率で没収される
- 中国系航空会社では、飛行中モバイルバッテリーを使用して電子機器に充電することはできないが、日本ではそのような規定はない
このように中国のルールの方が厳しいので、中国旅行にモバイルバッテリーを持っていく場合、中国のルールに沿うように①100Wh以下で、②Whが明記されているものを購入するべきです。
ところで、ほとんどのモバイルバッテリーはmAh(ミリアンペアアワー)表記で販売されているので、購入する際ワット時定格量Whが分からないということがあるかもしれません。
そんな時はどうしたらよいでしょうか。
4.Whの計算方法
ワット時定格量Whが分からない時、次のように計算する方法があります。
Wh(ワット時定格量)=V(電圧)×Ah(放電容量)
リチウムイオン電池の電圧Vは、3.7です。
また、ほとんどのモバイルバッテリーはmAh表記で販売されているので、AhをmAhに変えます。
Ah=mAh÷1000
すると、次の計算式ができます。
Wh=3.7×mAh÷1000
これによって、mAhからWhを計算することができます。
そこで中国のモバイルバッテリーのルールを、WhとmAhを対応させて整理してみます。
| Wh | mAh | 持ち込み | 預け入れ |
| 100Wh以下 | 27,027mAh以下 | ○ | × |
| 100Wh超え~160Wh以下 | 27,027mAh超え~43,243mAh以下 | △(航空会社の許可必要) | × |
| 160Wh超え | 43,243mAh超え | × | × |
航空会社の許可がいらない100Wh以下がよいので、約27,000mAh以下のモバイルバッテリーがよいということになります。
また購入する際は、モバイルバッテリーにWhが明記されているものでなければなりません。
この条件を満たすものとして、Ankerという会社のモバイルバッテリーがおすすめです。
Ankerのモバイルバッテリーは、基本的にWhが表示されているからです。
以下、おすすめのモバイルバッテリーを紹介します。
5.中国旅行におすすめのモバイルバッテリー
Anker Zolo Power Bank

| mAh | 10,000 |
| Wh | 37 |
| サイズ | 約 109 × 65 × 25 mm |
| 重さ | 約212g |
| 入力 USB-C 入力 | 5V=3A / 9V=2.22A / 12V=1.66A (MAX 20W) |
| 出力 USB-A 出力 | 5V=3A / 9V=3A / 10V=2.25A / 12V=2.5A / 15V=2A / 20V=1.5A (MAX 30W) |
| USB-A 出力 | 5V=3A / 9V=2A / 10V=2.25A / 12V=1.5A (MAX 22.5W) |
| パッケージ内容 | Anker Zolo Power Bank (10000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル)、USB-C & USB-Cケーブル、取扱説明書、カスタマーサポート |
| 注意点 | Anker Zolo Power Bank本体を充電する充電器は付いてません。 別売りのUSB-C対応充電器が必要です。 |
USB-Cケーブル一体型のモバイルバッテリー「Anker Zolo Power Bank」です。
本体にWhも3C認証マークも表記されているため、中国国際線にも中国国内線にも持ち込めます。

3C認証のあるモバイルバッテリーは日本ではまだ少ないので、貴重な一台といえます。
本体に一体化されているUSB-Cケーブルは専用の差し込み口に収納でき、コンパクトにできます。

USB-CとUSB-Aの両方のポート(差し込み口)があるため、USB-C対応スマホにもUSB-A対応スマホにも充電できます。
iPhoneでいえば、iPhone14までがUSB-Aで、iPhone15以降がUSB-Cです。


USB-C対応スマホを充電する場合、本体に一体化しているケーブルを使ってもいいですし、USB-C対応ポートにケーブルを指して使ってもいいです。

USB-A対応スマホに充電する場合、Lightningケーブルが別途必要です。

Anker Zolo Power Bank本体を充電する場合は、USB-Cケーブルと充電器を使います。

商品にはUSB-Cケーブルが1本同梱されており、これをUSB-Cポートに指して充電することもできます。

これを使うと本体を充電しながら、スマホを充電することもできます。

注意点ですが、充電器はついてません。
ですので、USB-C対応の充電器が必要になります。
お使いのスマホがUSB-A対応スマホの場合、それを充電するときに使っているであろうUSB-A対応充電器ではAnker Zolo Power Bank本体は充電できないのでご注意ください。
以上、Anker Zolo Power Bankでした。
中国国際線にも国内線にも持ち込むことができる、中国旅行のモバイルバッテリーの決定版といえます。
北京旅行にはぜひ持って行ってください。
6.まとめ
以上、中国旅行でモバイルバッテリーを飛行機内に持ち込むために、必要なことを解説してきました。
あらためて、空港でモバイルバッテリーを没収されないための注意点をまとめると、以下の3点です。
- モバイルバッテリーは預け入れ荷物に入れず、機内持ち込み手荷物に入れる
- モバイルバッテリーにWhが明記されている
- モバイルバッテリーは100Wh以下である
以上の注意点を、守るようにしてください。
モバイルバッテリーのおすすめは、Anker Zolo Power Bankです。
中国国際線にも国内線にも持ち込めるので、中国旅行にはこれ一台あれば安心です。
